2026年10月07日
「骨密度の検査を受けたら、それほど悪くなかったので安心しています」
そう思っている方も多いのではないでしょうか。
実は、骨の強さは骨密度だけで決まるわけではありません。
骨粗鬆症を考えるうえで、近年注目されているのが「骨質(こつしつ)」という考え方です。
骨密度と骨質はどう違う?
骨密度は、骨に含まれるカルシウムなどのミネラル量を表す指標です。
一方、骨質とは、骨の微細な構造や、骨を構成するコラーゲンなどの「材質」の状態を含めた、骨の強さに関わる要素です。
イメージとしては、骨を鉄筋コンクリートの建物に例えると、カルシウムなどが「コンクリート」、コラーゲンが「鉄筋」にあたります。
どれだけ材料が多くても、その材質や構造に問題があれば、丈夫な建物とはいえません。
同じように、骨密度がそれほど低くなくても、骨の質が低下していることで骨折しやすくなる場合があります。
<骨質研究で知られる斎藤充先生>
この「骨質」について長年研究されているのが、東京慈恵会医科大学整形外科学講座の斎藤充教授です。
斎藤教授は、骨の強さに関わるコラーゲンや、その分子同士をつなぐ「コラーゲン架橋」などについて研究を続けてきました。骨密度の低下だけでは説明できない骨の脆弱化についても研究し、「骨質」という視点から骨粗鬆症を捉える重要性を示してきた研究者の一人です。
私自身も東京慈恵会医科大学整形外科学講座出身であり、同講座で学んだ経験があります。
慈恵医大では、骨粗鬆症を単に「骨密度が低い病気」として捉えるのではなく、**「なぜ骨折するのか」「骨そのものがどのように弱くなっているのか」**という視点から骨を考える研究が長く行われてきました。
骨密度が大丈夫なら安心?
では、骨質を調べれば骨折するかどうかが分かるのでしょうか。
現在、骨質を一つの数値で簡単に測定できるわけではありません。
そのため、骨粗鬆症の診療では骨密度検査を基本としながら、年齢、これまでの骨折歴、生活習慣などを含めて、総合的に骨折リスクを考えることが大切です。
特に、軽い転倒で骨折したことがある方や、閉経後の女性、身長が縮んできた方、背中が丸くなってきた方は、一度骨の状態を確認することをおすすめします。
骨折する前に、骨の状態を確認しましょう
骨粗鬆症は、自覚症状がないまま進行することがあります。
「痛くないから大丈夫」「骨密度がそれほど悪くないから安心」と自己判断するのではなく、骨折を起こす前に自分の骨の状態を知ることが大切です。
骨の健康は、骨密度だけではなく「骨質」という視点からも考えてみましょう。
将来の骨折を予防し、いつまでも自分の足で歩くために、まずは一度、骨の状態をチェックしてみませんか。